
最近、充電式の乾電池を新しく購入いたしました。
ほんの少し前までは、充電式の乾電池といえば「白色の本体にオレンジ色のマーク」という、誰が見てもすぐにそれと分かる見た目をしておりました。しかし今回購入したものは、見た目がごく普通の乾電池とほとんど変わらず、ぱっと見ただけでは充電式なのか、使い切りの乾電池なのか、その区別がつかないものでありました。
そこで、これはひと工夫必要だな、と思い立ちました。
といっても、大げさなことをしたわけではありません。パソコンで「充電池」という文字を印刷し、それをハサミで切り、セロハンテープで乾電池に貼り付けただけです。いわば手作りの目印であります。ですが、このひと手間によって、電池が切れて次に交換されるとき、「これは充電式だから捨てずに戻そう」と思い出してもらえたらいいな、そんな願いを込めて、まずはやってみたところであります。
正直に申し上げますと、この目印を付けていなければ、他ならぬ自分自身でさえ、うっかり捨ててしまう自信がある、というのが本音であります。それほどまでに、私たちは日々の忙しさの中で、目の前の物を深く考えることなく扱ってしまっているのかもしれません。
この充電式の乾電池、実は回収率があまり良くありません。
リモコンの中に入ったまま行方不明になってしまったり、あるいは普通の乾電池と同じように処分されてしまったりすることが、これまでにも何度もありました。せっかく何度も使えるものとして購入したにもかかわらず、再充電されることなく役目を終えてしまうのは、どこかもったいない気がいたします。そこで今回、なるべく処分されず、再び充電されて戻ってくるように、分かりやすい表現を追加した、というわけであります。
今回、乾電池を交換したのは、本堂の照明器具用のリモコンであります。
本堂には同じ照明機器を六台設置しておりますので、リモコンも六台あります。そして、その一台につき乾電池が二個必要ですから、合計で十二個の乾電池が必要となります。そのすべてに「充電式」というシールを貼り、新しいものと交換してから、元の場所へと設置いたしました。
取り外した古い乾電池を見てみますと、中には液漏れを起こしているものもありました。
「ああ、ずいぶん長いあいだ、ここにはまったまま働いてくれていたんだなぁ」
そんな思いが、ふと胸に浮かびました。普段は意識することのない乾電池ですが、照明をつけるたび、知らぬ間に私たちのために力を使い続けてくれていたのであります。そう思うと、ただの消耗品として片づけてしまうのが、少し忍びなくも感じられました。
さて、新しく導入した充電式の乾電池が、これからどのような働きをしてくれるのか。
耐久性はどうか、充電の持ちはどうか。様子を見ながら、大切に使っていきたいと思っております。
ここで、少し立ち止まって考えてみたいことがあります。
私たちは最近、「再利用できるもの」を、あまりにも簡単に捨ててしまってはいないでしょうか。壊れていない、まだ使える、工夫すればもう一度役に立つ。そうした物であっても、「新しいもののほうが便利だから」「手間がかかるから」という理由で、次々と手放してしまっているようにも思われます。
日本には、「物を大切にしなさい」という教えがあります。
それは単に節約をしなさい、という意味だけではありません。物もまた、縁によってここに集まり、私たちの生活を支えてくれている存在である、という見方であります。人も物も、突然そこに現れたわけではなく、さまざまな因縁が重なり合って、今この場にある。そのことに思いを致すとき、自然と扱い方も変わってくるのではないでしょうか。
再利用できるものは再利用する。
使えるものは、できるだけ長く、大切に使う。
そうした小さな積み重ねこそが、「物を大切にするんだよ」という昔からの教えを、現代の私たちの生活の中で実践していくことにつながるのだと思います。
もちろん、充電式の乾電池を使えば、今度は充電器という新たな品物が増える、という現実もあります。何かを選べば、何かが増える。便利さの裏には、必ず別の課題も生まれます。それでもなお、「どうすれば無駄を減らせるか」「どうすれば長く使えるか」と考え続けること自体が、すでに大切な一歩なのではないでしょうか。
本堂の照明を静かに照らすその光の裏側で、名もなき乾電池たちが今日も働いています。
その小さな存在に目を向け、感謝し、できる限りその役目を全うしてもらう。そんな心が、私たち自身の暮らしや生き方をも、少しずつ整えてくれるように思えてなりません。
日々の何気ない出来事の中にこそ、学びの種はあります。
充電式乾電池に貼った小さな「充電池」というシールは、物を大切にする心を、そっと思い出させてくれる目印なのかもしれません。



